「経営者へのメッセージ」を更新しました_2023年1月

 昨年の令和4年は、世界の構造が大きく軋んだ1年でした。2月24日にロシアがウクライナに進攻を開始した当初、ウクライナの首都キーウは鎧袖一触で陥落するという大方の予想を覆し、キーウへの攻撃を退けたウクライナは今なお善戦中です。 

 思えば1989年のマルタ会談で東西冷戦が終結するまで、ソ連の恐怖は世界に影を落としており、空母ミンスクがたびたび対馬海峡を通過して日本の平和を脅かしていました。しかしマルタ会談と時を同じくしてベルリンの壁が崩壊し、東欧の共産主義国家が次々と崩壊し、西側諸国はグローバリゼーションの旗印の下で平和を享受してきました。

 その一方で、1985年のプラザ合意と共に円高時代が到来し、日本の製造業は次々と海外特に中国に進出することを余儀なくされ、空洞化が進行していきました。当時、重工メーカーのエンジニアだった私は「1ドル80円時代が来たら国内製造業は壊滅」などと怯えていたことを思い出します。
 冷戦に敗北したソ連は崩壊しロシアと名前を変えましたが、2014年のクリミア危機の頃から失地を回復しようとEUに対し牙を剥き始めました。同時に中国はグローバリゼーションに伴い世界の工場となって国力を急速に増加させていきました。空母ミンスクをスクラップとして買い取って空母運用の研究を進める一方、ウクライナで旧ソ連の未成監として係留されていたヴァリャーグを買い取って空母遼寧として完成させて以降、海洋進出の牙を剥き始めました。具体的には台湾への武力侵攻を仄めかす発言を繰り返して極東の情勢を不安定化させています。中露が同時に息を吹き返した今、まさに東西冷戦構造が30年近くの時を経て復活しています。

  昨年も申し上げましたが、時代は大きく軋み始めています。この30年、日本を支配してきたデフレの動きも止まり、円安と原材料価格の高騰でインフレへと大きく風向きが変わってきています。令和5年の春闘では大企業の賃上げも予想されています。
 思うに、30年前のバブル崩壊はインフレからデフレへの局面の変化により起きた事象であり、株や土地の時価が大きく下落することで企業も個人も資産状態が悪化しました。今度はデフレからインフレへの局面変化が起きますので、今までと同じことを続けること自体がリスクになります。

  経営とは次々と発現してくるリスクへの対応と言っても過言ではないかと思います。組織がリターンを得るためにはリスクを取らねばならないからです。リスクを識別し、対応策を考え、発現してしまった場合には火消しに追われと、あっという間に毎日が過ぎていってしまいます。そんな中で会計事務所にはレーダーとしての役割があります。レーダーがあることでパイロットである経営者は状況を客観的に把握しつつ目的地を目指すことが出来るのです。

  私たちは経営者の皆様を支えるべく高度で高品質な専門性の研鑽に努め、クライアントのニーズに合ったコンサルティング技法を十分活用し、皆様の事業経営が成功されますよう支えることをお約束いたします。